加悦鉄道(かやてつどう)は、京都府北部の与謝郡与謝野町、酒呑童子伝説で知られる大江山の麓に広がる加悦谷と呼ばれる地域を走っていました。宮津線の丹後山田駅(現在の野田川駅)から大江山へ向かって5.7キロ進んだ加悦駅までの短い路線です。
この鉄道、当初は丹後ちりめんの輸送を目的としていたようですが、その後は大江山でニッケルが採掘されたことからニッケルの貨物輸送も行っていました。

写真は終着駅、加悦駅の待合室です。実はこのときの記憶はあまり残っていないのですが、写真を見るとすごくレトロ感の詰まった興味深い駅に思えます。残念ながら当時の私はそんなものに興味はなかったのです。

加悦駅はこの田舎には似つかわしくない洒落た洋風建築でその白さが際立っていました。外観と内部とのギャップが面白いですね。写真ではよくわかりませんが駅構内には年代ものの蒸気機関車がいくつも置かれていてSL広場として公開されていました。ただし、見学している人は誰もいませんでした。本当に静かなところで、次の列車を待つ間、居眠りなどしながらのんびりとすごしました。

加悦から丹後山田へ引き返します。1両のみのディーゼルカーはひたすら警笛を鳴らしながらゆっくりと走りました。いくつかある途中駅も写真のように実に味わい深い標識がたっていました。
なお、この加悦鉄道は1985年5月1日に全線が廃止されています。
続く